■あらすじ
湯ノ鷺温泉特集が掲載されている雑誌を手にした緒花たちは、期待と不安を胸に恐る恐る内容を確認する。
しかし、喜翆荘の評価は散々なものであった。
正当な評価をされていないと憤慨する従業員たちの中で特に緒花の怒りはすさまじく、女将の一喝でも抑えることはできない。
出版社に電話で抗議してもラチが明かないため、緒花は書置きを残してひとり東京へ。
担当者に食い下がり、やっとのことで手に入れたライターの名刺に書かれていた名前は『松前皐月』──緒花の母親であった。
数ヶ月ぶりの再会に喜ぶ間もなく例の記事について問いただす緒花だが、皐月は「仕事だから」と一蹴する。
もちろんそんな理由で納得はできるはずもなく、何を言っても聞く耳をもたない皐月に対し緒花は孤独な抗議活動を開始する。
■大人の階段のぼる君はまだ…憎き敵がまさかの母・皐月であり、なんとなく会ってしまった孝一は少し遠い存在に……
2人でカフェにいるとき、孝一はバイト先の女の子に告白されて、でもそれを保留していると緒花に話しますが、それは「お前の答えを待っている(聞きたい)」ということだったと思います。
しかし、緒花はそれに気づいたはずなのに結局、有耶無耶な状態を続けてしまいます。
かつてのホームであった東京に緒花の居場所はなく、色んな事がありすぎて心の処理が追いつかない。
極限の不安の中、彼女の口から出たのは
「考ちゃん」──
心にグサッときましたねこのセリフ。
そういえば、緒花が喜翆荘に来たばかりの不安な頃に心の支えになっていたのは孝一でした。
徹を呼び戻すために結婚式場を駆けまわり、見つからずに諦めようとしたときに励ましてくれたのも孝一。
熱でダウンしたとき自分の存在を否定されたと思い込み落ち込んで、そんなとき夢の中に現れたのも孝一。
もう孝一なしではいられないのに、ずっと今の関係を続けられるはずないのに、逃げ出してしまった緒花。
次回タイトル
『じゃあな。』が示すものは一体……
そして泥沼化がとまらない母娘対決。
緒花自身も子供の生意気な意見だと分かっているはずですが、相手が相手なだけに意地を貫き通すことしか方法が見つからないのでしょうね。
なんとも残酷な形での母娘の再会……今夜は私も悶々としてしまいそうです。
『第11話:夜に吼える』を読み解くキーワード
ぼんぼる 負け続けの人生 許さない