■あらすじ
貴志は妖怪たちの「田沼の寺からお経が聞こえなくなった」という噂を聞きつける。
田沼要は貴志の持っている能力を知りながらも良き理解者でいてくれる数少ない親友。
その父親に何かあったのではないかと心配する貴志は要に事情を聞こうとするが、彼との距離に慎重になる余りなかなか踏み込めずにいた。
結果的にその心配は徒労に終わり、要の父は法事のために長期間家を空けているとのことであった。

安心して家路につく貴志の前に名前を返してほしいと現れた女の妖怪。
すぐさま友人帳を取り出し儀式を行う貴志であったが、友人帳に反応がない。
不思議に思った貴志はその妖怪に真意を聞き出そうとするが……。

一方、要は父親が家を空けた頃から不気味な影を見るようになる。
その影は寺の敷地内を徘徊し、かすれる様な声で「夏目」とつぶやいていた。
■想い想いやられ今回は望郷の念にとらわれた可哀想な妖怪のお話。
貴志と要の友情物語もからめて、とてもうまく纏まっていました。
浮春の郷への道があるという噂を聞きつけ八ツ原にやってきたカナワ。そしてレイコとの出会い。
カナワに誘われたときのレイコの表情には現世へのかすかな希望を感じさせます。
レイコが手に入れなかったものは孫の貴志に。そのかすかな希望も彼に受け継がれているのかな。

『第2話:浮春の郷(さと)』を読み解くキーワード
キレイナ世界 ジャンケンポン 因果応報